風間法律事務所

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任意整理において一部の債権者を除くこと

破産、個人再生手続では、一部の債権者を除くことはできません。

任意整理は、裁判上の手続ではなく柔軟な対応が可能ですが、基本的にはすべての債権者を対象にすべきものと解されます。

ただ、勤務先からの借入れ、自動車ローン、携帯電話・スマホの割賦払い、保証人がついている借入れなど、 他の借入れと同様に支払いを停止すると(弁護士が任意整理を受任した場合、通常、支払いは停止してもらいます)、 不都合が生じ得る借入れがあるのも事実です。

これらの借入れをどうすべきかは難しい判断となりますので、弁護士によくご確認ください。

任意整理において一部の債権者が同意しない場合

たとえば、債権者がA(債権額200万円)、B(債権額10万円)の2名いて、任意整理を進めているとします。

もしこちらが提示した弁済案をBが同意しない場合には、Bの債権額は少額であるため、微調整により、A、Bいずれとも 和解できる可能性があります。場合によってはAだけ先行して和解する方法もあると思います。

それに対し、Aが同意しない場合、調整も難しいときには、債務整理の方針自体を見直す必要があるかもしれません。

任意整理は各債権者との個別の交渉となりますので、ある債権者は弁済案に同意し、ある債権者は同意しないという事態が 生じ得ます。もし一部の債権者が同意しない場合にはどうするか、事前に弁護士とよく協議しておく必要があります。

任意整理における負債の減額

任意整理は、各債権者と個別に交渉し、負債の支払方法について合意を目指すものです。

多くは、支払い可能な範囲に月々の返済額を減らしてもらい、それまでの遅延損害金、ならびに将来利息を免除してもらうよう交渉していきます。

負債自体が減額となればより返済は楽になりますが、なかなか応じてもらえません。

任意整理のメリットとデメリット

任意整理には、次のようなメリットとデメリットがあります。

(メリット)

  1. 裁判上の手続である破産、個人再生と比べ、簡便。
  2. 破産、個人再生と比べ、かかる費用が安くなることが多い。

(デメリット)

  1. 債権者の同意が得られない限り、整理できない。

裁判所から訴状などが届いた場合

多重債務者の中には、裁判所から訴状などの書類が届いても開封もせずに放置する方がいます。 そして、勝訴判決に基づき給与など差押えられてから慌てて弁護士に相談されます。
しかし、弁護士が債務整理を受任してもすぐに給与などの差押えが止まるわけではありません。 給与など差押えを受けてからでは対応として遅いです。 裁判所から訴状などの書類が届いたらすぐに開封して自分で対応が難しい場合にはお早めに 弁護士にご相談されることをお勧めします。

負債整理の対象は借金に限られません

負債整理の対象の多くは,金融機関などからの借金です。しかし,負債は借金だけではありません。
たとえば,物を買ったけどその代金が未払いのとき,売買代金支払債務という負債を負っています。 交通事故などで他人に怪我をさせてしまった場合,損害賠償債務という負債を負っています。
また,電気料金,水道料 金,ガス料金,電話料金が未払いのときも,それぞれの料金を支払う負債を負っています。 家賃,駐車料金が未払いのときも,負債を負っています。
負債整理のご相談をされる際は,借金だけでなくその他すべての負債を弁護士にお話ください。

ギャンブル,仮想通貨,FXなどによる借金

ギャンブル,仮想通貨,FXなどにより多額の借金を負っている場合,他人に相談しにくいかと思います。
しかし,自分ひとりで解決しようと,高利の借入れに手を出したり,クレジットで購入した物を現金化したりして, さらに負債を増やしている人をたくさん見てきています。
ギャンブル,仮想通貨,FXなどにより多額の借金を負った場合,破産法上の免責不許可事由にあたる可能性があります。 しかし,その全てが免責不許可事由 にあたるわけではなく,さらに免責不許可事由にあたる場合でも裁量で免責される可能性があります。
おひとりで悩まず弁護士に相談することをお勧めします。

ご夫婦で借金を負っている場合

ご夫婦で借金を負っている場合,借金の整理をお考えであれば, ご夫婦お二人でご相談にいらっしゃることをお勧めします。
全体をみて,それぞれどう整理するのが望ましいか,判断がしやすいからです。

ご本人に代わってのご相談

ときどき,借金を負っているご本人のご親族から,ご本人に代わって相談したいとの申し入れがあります。
いろいろご事情はあろうかと思いますが,借金に関することをもっとも分かっているのはご本人ですから, できる限りご本人にご来所頂くようお願いしております
ただ,どうしてもご本人にご来所頂けない事情がある場合には,ご親族からのご相談もお受けしております。
但し,事件を受任する場合には,ご本人と直接お会いして,事情をお聴きし,ご依頼のご意思があるか確認が必要となります。

新たに借入先が発覚した場合

破産,再生,任意整理,いずれによるにせよ,すべての借入先を弁護士に申告してください。
もし弁護士に依頼した後に新たに借入先が発覚した場合にはすぐに弁護士に申告してください。
破産であれば,新たに借入先が発覚したのにそれを申告しないと免責不許可となる可能性があります

ありのまま正直に

ギャンブルで借金を作ってしまった,収入がないのにあると嘘をついて借り入れてしまった, クレジットで購入した物を現金化してしまった,勤務先から借入があるなど, 弁護士に話しにくいこともあると思います。
しかし,すべてをありのまま正直に弁護士にお話しください。
やってしまったことはやってしまったで,それを前提に対応を検討する必要があります。隠していて後から発覚することが最も悪いです。

会社と代表者にかかる手続費用,弁護士費用

会社の代表者は会社の借入れにつき保証していることが多いです。 そのため,会社が破産状態にあると,同時にその代表者も破産状態にあることが多い。
このような場合,通常,会社と代表者と一緒に破産申立てをしますが,会社にかかる 手続費用,弁護士費用は会社の財産から代表者にかかる手続費用,弁護士費用は 代表者の財産から支出するのが基本です。

借金問題を弁護士に相談するタイミング

一般的にはお早めにご相談頂いた方がよいと思います。
借入れの原因がギャンブルや浪費などの場合,家族にも相談しにくく, 自分1人で解決しようと,高利貸しに手を出したり,一発逆転を狙ってギャンブル, 投資,投機に手を出したり・・・。
そして,万策尽きた段階で相談にいらっしゃる方がときどきいらっしゃいます。 借金を減らそうとして,かえって借金を増やしていませんか。

保証人

借入れに保証人がついてる場合があります。主債務者が支払いを停止すると, 通常,債権者は保証人に請求します。
その請求金額が大きい場合などは,主債務者だけでなく,保証人も借金の整理を する必要があるかもしれません。
したがって,弁護士に借金問題を相談する場合には,保証人 の有無を必ず確認して,弁護士に保証人への影響を確認しましょう。

家計簿

裁判所に破産や再生を申立てる場合,直近2か月分の「家計全体の状況」の提出 が必要です。
「家計全体の状況」とは,収入と支出を記す家計簿で,世帯を同じく する家族単位で作成します。
そして,「家計全体の状況」と合わせて,収入に関する給与明細書などの写し, 支出に関する公共料金の支払い領収証などの写しの提出が必要となります。 借金の整理をお考えの方は,これらの書類を捨てずに保管しておきましょう。

弁護士費用の分割払い

借金問題を相談される方は,当然,経済的に苦しい状況にあり,弁護士費用を一括して 支払うことが難しい場合が多いです。しかし,ご安心ください。
当事務所では,みなさまの収入,生活状況等をふまえ,弁護士費用の分割払いに柔軟に 対応しております。

月々の返済が苦しいのに弁護士費用を支払えるのか?

ごもっともです。たしかに弁護士費用は決して安くありません。
しかし,月々の借入先に対する返済は,原則,弁護士が受任した時点で停止 してもらいます。
これにより月々返済にまわしていたお金が「浮く」ことになります。 この浮いたお金を弁護士費用や手続費用に充ててもらうのです。

借金を整理しないで放置するとどうなる?

月々の支払いが滞ると,債権者から電話や郵便などにより支払いの催促がくるでしょう。
また,裁判を起こされる場合もあります。債権者が費用をかけて裁判を起こす主たる目的は, 強制執行するためです。
強制執行とは債務者の給料や預貯金などの財産を差し押さえて強制的に回収する手続です。
放置すれば放置するだけ遅延損害金も増えることになります。 そのため,一般的には,借金の返済が厳しくなったときは,お早めに弁護士などに相談することをお勧めします。

破産による配偶者への影響

配偶者が破産しても,原則として,他方の配偶者に影響はありません。 配偶者が破産したからといって,他方の配偶者が借金を背負わされることはありません。
但し,他方の配偶者が保証人になっていたり,破産する配偶者が他方の配偶者の保証人 になっている場合には影響がありますのでご注意ください。

破産手続中の郵便物

法人,個人を問わず破産者宛の郵便物は,破産手続中,破産管財人に転送されます (個人の場合には第1回債権者集会までとされることもあります)。
破産管財人はその郵便物を開いて見ることができます。その郵便物により, 破産申立書に記載がない財産や負債の存在が判明したりすることもあります。
意図的に財産や負債を隠したりすると,免責不許可となる場合があります。

破産,再生を依頼する弁護士の選び方

破産,あるいは再生を申立てしたいが,どうやって弁護士を選べばよいか, お悩みではありませんか。
あくまで私個人の考えですが,選ぶときの重要なポイントの1つに, その弁護士の事務所への近さがあると思います。
申立ての準備のため,依頼した弁護士の事務所に何度か行く必要があります。
事務所が遠方だと交通費もかさみますし,そもそも行くこと自体たいへんです。

新型コロナウィルス

自然災害ガイドラインを新型コロナウィルス感染症に適用する場合の特則 が金融機関等関係団体の自主的な準則として策定されました。
令和2年12月1日より適用開始されております。
詳細は,一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関のサイトなどをご覧さい。

破産すると勤務先に連絡がいくの?

勤務先に借入れがあれば,裁判所から勤務先に破産手続が開始されたことの通知がいきます。
そうでなければ,裁判所,破産管財人,申立代理人弁護士から勤務先に連絡することは,通常ありません。
ちなみに破産すると官報に載りますが,一般の人が官報をみることはほとんどないのではないでしょうか。

ヤミ金融業者(その2)

ヤミ金融業者に手を出してしまった方の中には,どこも貸してくれないのに貸してくれた, 助けてもらった,とヤミ金融業者に恩義を感じている方がいます。
そのような方は,弁護士との相談で,ヤミ金業者から借入れがあることを隠したりします。
どのような理由であれ,包み隠さず,すべての借入先を弁護士に申告してください。それが借金整理の第一歩です。

ヤミ金融業者

私が弁護士登録した20年ほど前は,今と比べヤミ金融業者がとても多かったです。
ヤミ金融業者からの借入れは不法原因給付として返済しない扱いをしています。
ヤミ金融業者が自宅や勤務先におしかけてきたりするなどし,お困りの方はすぐに 最寄りの警察に相談することをお勧めします。

できるだけ破産しない方がよい?

個人の借金を整理する方法には,①破産,②再生,③任意整理の3つがあります。
結論を先にいえば,破産すべき状況のときは破産することが最良の選択であり,無理に再生,任意整理を進めることは望ましくありません。
無理に進め,途中で返済ができなくなると,改めて弁護士に頼んで破産申立てをしなければならなくなるかもしれません。
そうなれば,時間と費用が無駄になります。破産に対し過度にマイナスのイメージを持つことはよくないと思います。

弁護士に頼んで任意整理したが,途中で支払いができなくなってしまった

このような場合,先ず任意整理を依頼した弁護士に相談されることをお勧めします。
相当に古い案件でなければ弁護士は記録を保存しておりますので,別の弁護士に相談するのと比べ「話しが早い」と思います。
ただ,一度整理してもらったので「相談しにくい」ときや,「あの弁護士はちょっと」というときは,別の弁護士に相談しても良いと思います。

任意整理における振込代行手数料

債権者と債務弁済契約が成立すると,それ従い債権者に分割で支払っていくことになります。
債権者に対する支払方法は一般的に振込みとなりますが,振り込む方法には,債務者が債権者に直接振り込む方法と, 債務者が弁護士の預かり金口座に弁済金を送金し,弁護士が債権者に振り込む方法があります。
後者,弁護士が振込みを代行する場合,通常,弁護士に振込代行手数料を支払う必要があります。
たとえば債権者が5社で,振込代行手数料が1件あたり1,100円とした場合,毎月振込代行手数料だけで5,500円かかります。 それが数年間続くと・・・。
私は振込代行の方法をとっていません。依頼者の経済的な負担が大きくなるからです。 また,債権者と債務弁済契約が成立した以上,あとは依頼者が自分で責任を持って支払いを管理していくべきものと考えているからです。

預貯金通帳

破産,再生手続を利用する場合,通常,申立てから遡って2年分の預貯金通帳の写しを裁判所に提出する必要があります。
若い頃に作ってずっと利用していなかった通帳も含めて,すべての預貯金通帳の写しを提出する必要があります。
預貯金通帳は,給与,年金などの収入,及び公共料金や借金の返済などの支出に利用されていることが多く, 債務者の収入と支出を確認できる客観的な資料として,破産,再生手続において重視されます。
もし破産,再生手続をお考えであれば,ご自分の通帳をご確認いただくことをお勧めします。
長期間にわたり支払いが滞っていて存在を忘れていた借入先や,完済しているが過払いの可能性がある借入先が見つかるかもしれません。

給料の受入口座

給料の支払いは,指定の銀行口座への振り込みによることが多いかと思います。
その銀行に借り入れがある場合,その銀行への返済が滞ると,預金と負債を相殺されたり,口座を凍結されるリスクがあります。
したがって,できるのであれば給料の受入口座を負債がない口座に変更した方がよいでしょう。
但し,変更する場合,給料の受入口座より公共料金,携帯利用料金などが自動引落しになっているときはその支払方法もあわせて変更する必要がありますのでご注意ください。